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2024.07.02

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経済財政運営と改革の基本方針 2024(骨太の方針2024)における企業版ふるさと納税の位置づけ

カルティブ小坪です。

経済財政運営と改革の基本方針 2024(通称:骨太の方針2024) が、2024年6月21日に公開されました。昨年度からの継続案件が多く見受けられたが、デフレ脱却と賃上げの文脈が多く記載されているように感じた。

企業版ふるさと納税は 第2章 6.(1)(共生)の中で記載

企業版ふるさと納税については、下記の文脈で記載されていました。

第2章 社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現
~賃上げの定着と戦略的な投資による所得と生産性の向上~

6.幸せを実感できる包摂社会の実現
(1)共生・共助・女性活躍社会づくり

【原文】
(共生)
企業版ふるさと納税について、これまでの取組状況等を総合的に検証するとともに、今後 の本制度の在り方を検討する。

今、改めて問われる企業のモラル

企業版ふるさと納税については、2020年の大幅な税制改正以降に、自治体、企業ともに認知が拡大し、活用が一般的になってきました。様々な省庁の施策で企業版ふるさと納税との連動・併用が進み、地方創生や官民連携にとって、無くてはならない制度に成長してきたように感じています。

一方で、企業版ふるさと納税を活用した寄付や自治体との連携が一般的になる流れの中で、寄付金が直接的に寄附企業に還流するように意図的に仕組まれている事例や寄付を原資としたポイント還元、もしくは単にモノをを寄付することによって企業の利益が底上げされてしまうといった制度の本来の主旨に合わない事例も出てきています。

著しく主旨に反した事例については、メディアで社名を取り上げられるケースや、内閣府から自治体に制度の主旨の説明を改めて行うケースも出ているようです。企業版ふるさと納税の本来の主旨である東京一極集中の是正や地方への移住定住の裾野を拡げるような活用方法を加速させ、税制度の悪用と取られかねない活用方法を抑制するための法改正が求められているのかもしれません。

個人のふるさと納税と異なり、メディアに取り上げられた際には大きなレピュテーションリスクを伴う企業版ふるさと納税制度だからこそ、寄付を検討する企業は制度本来の主旨を正しく理解し、本来の主旨である地方創生に資する形での活用が求められています。

内閣府の原文掲載ページ

下記より骨太の方針の原文をご確認いただけます。ぜひ合わせて原文をご覧ください。

原文へのリンク

経済財政運営と改革の基本方針 2024
(目次)
第1章 成長型の新たな経済ステージへの移行 ――――――――――1

1.デフレ完全脱却の実現に向けて
2.豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会に向けて

第2章 社会課題への対応を通じた持続的な経済成長の実現
~賃上げの定着と戦略的な投資による所得と生産性の向上~ ―――― 7

1.豊かさを実感できる「所得増加」及び「賃上げ定着」
(1)賃上げの促進
(2)三位一体の労働市場改革
(3)価格転嫁対策

2.豊かさを支える中堅・中小企業の活性化
(1) 人手不足への対応
(2) 中堅・中小企業の稼ぐ力
(3) 輸出・海外展開
3.投資の拡大及び革新技術の社会実装による社会課題への対応
(1) DX
(2) GX・エネルギー安全保障
(3) フロンティアの開拓
(4) 科学技術の振興・イノベーションの促進
(5) 資産運用立国

4.スタートアップのネットワーク形成や海外との連結性向上による社会課題への対応
(1)スタートアップの支援・ネットワークの形成
(2)海外活力の取り込み
(3)大阪・関西万博の推進

5.地方創生及び地域における社会課題への対応
(1)デジタル田園都市国家構想と地方創生の新展開
(2)デジタル行財政改革
(3)地方活性化及び交流の拡大
(4)農林水産業の持続可能な成長及び食料安全保障
6.幸せを実感できる包摂社会の実現
(1)共生・共助・女性活躍社会づくり
(2)安全・安心で心豊かな国民生活の実現
7. 持続的な経済成長の礎となる国際環境変化への対応
(1)外交・安全保障
(2)経済安全保障
8.防災・減災及び国土強靱化の推進
(1)防災・減災及び国土強靱化
(2)東日本大震災、能登半島地震等からの復旧・復興

第3章 中長期的に持続可能な経済社会の実現~「経済・財政新生計画」~―38

1.新たなステージに向けた経済財政政策
2.中期的な経済財政の枠組み
3.主要分野ごとの基本方針と重要課題
(1)全世代型社会保障の構築
(2)少子化対策・こども政策
(3)公教育の再生・研究活動の推進
(4)戦略的な社会資本整備
(5)地方行財政基盤の強化
4.改革推進のためのEBPM強化

第4章 当面の経済財政運営と令和7年度予算編成に向けた考え方 ―53

1.当面の経済財政運営について
2.令和7年度予算編成に向けた考え方

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