令和3年度の企業版ふるさと納税の寄付実績
2022年8月26日に内閣府より、令和3年度の企業版ふるさと納税の寄付実績が公開されました。
金額では前年度比約2.1倍の約225.7億円、件数は約2.2倍の4,922件と、金額、件数ともに大きく増加する結果になりました。内閣府により公表された資料から、企業版ふるさと納税の実績を読み解きます。
令和3年までの企業版ふるさと納税市場の推移
2021年度の企業版ふるさと納税の寄付金額合計は225.7億円となり、ついに200億円を突破しました。
金額では前年度比で2.1倍、件数では2.2倍もの伸びとなります。
過去6年間の寄付額、寄付件数を上に示しましたが、金額だけを見るとこの2年間で6.7倍もの伸びを示していることが分かります。
企業版ふるさと納税の寄付企業数と寄付件数の推移
この図は、企業版ふるさと納税の寄付企業数と寄付件数の年別の推移を表していますが、
令和2年度から令和3年度にかけて、1社当たりの寄付件数が大きく伸びていることがはっきりと分かります。
実際に多くの企業や自治体から聞く話を整理すると、
1社当たりの最大寄付自治体数 は、70を超えています。
関係構築やPRを目的として、多くの自治体に寄付しています。
企業のメリットを追求して、企業から自治体に声を掛け、
ニーズに合致する自治体に寄付をする流れです。
このような企業は、寄付に関わる調整や申込・決済処理の手間を外部事業者に委託する傾向があります。
自治体の企業版ふるさと納税寄付の受け入れ状況
内閣府より公表された寄付受入れ額の多い地方公共団体に関して、
公表データから寄付企業と寄付目的・背景を紐ほどくと下記のような点が見えてくる。
◆ 上位10自治体の傾向
① 合計寄付金額が上がっている
② 寄付受入れ件数が多い
③ 平均寄付金額が高い(数百万円以上の自治体もあり)
④ 企業が継続寄付の意向を示している
◆ 3団体が2年連続のTOP10入り
広島市、神山町、境町(境町は制度開設後ほぼ毎年)
◆ 取り組まれる分野
①先進技術・町づくり:2団体
未来都市ウーブンシティ → 裾野市
宇宙ビジネス → 大樹町
②スポーツ関連:4自治体
スタジアム関連 → 太田市、前橋市、広島市
大会準備・運営費 → 福岡市
③駅関連:3団体
裾野市、当別町、神山町
◆ 代表的な事例
・TOYOTAが未来都市ウーブンシティの最寄り駅である岩波駅の支援の形で裾野市に寄付している
・オープンハウスが子会社であるバスケットボールチームの本拠地である太田市のスタジアム建設に寄付している
このコラムを書いた筆者
株式会社カルティブ 小坪拓也
小坪拓也riverサービスファウンダー