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2023.10.20

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企業版ふるさと納税の大規模アンケート調査の報告① 概要・トレンド編

株式会社カルティブでは、企業版ふるさと納税制度をもっと知ってもらうため、大幅な税制改正が行われた2020年度から毎年(累計4回)、企業版ふるさと納税の市場調査(インターネット調査)を継続して行ってきました。
企業についても自治体についても、実際に担当されていた方より回答をいただいており、企業からは1,239、自治体からは404の回答をいただきました。

このコラムでは、2023年7月に実施したアンケート調査の概要をご説明します。

調査結果の概要


2020年度から2023年度で認知率・検討率・実施率がすべて上昇しており、企業版ふるさと納税の寄附活動が活発化していることが分かりました。

認知率

具体的な制度内容の認知率としては、2020年度の33.7%から37.1%に増加しています。
地方公共団体の寄附募集活動が活発になっており、認知率の上昇へ影響したと考えられます。

検討率

制度を知っている方のうち寄付を検討したことがある企業については、2020度の12.7%から16.7%に増加しています。
企業からの申し出により地方公共団体の寄附受入が積極化していることが分かりました。
人材派遣型の検討率も上昇しており、1万人以上の企業では60%が検討経験ありと回答しています。
寄付の目的としては、地域との関係構築を重視して検討しているようです。
人材派遣型の企業版ふるさと納税に関しては、別の動画でも説明しておりますので合わせてご覧ください。
動画URLはこちら(youtubeにリンクしています)

実施率

割合として最も上昇した寄付の実施率ですが、2.8%から5.8%と2倍以上の伸びとなりました。
今回のアンケート回答者の中では20社に1社は寄付を実施したという結果となっています。

地方公共団体・企業ともに民間サービスの利用者が増加しました。
寄付の決定要因として地方公共団体の担当者の対応力が最終的な寄附理由のトップを占めました。

失注理由の変化

失注理由は、2020年度は「ステークホルダーの賛同を得られなかった」が最も多かったのですが、
2023年度は「プロジェクト内容への賛同が得られなかった」に変化しています。
企業版ふるさと納税は、社内の賛同が得られやすくなったと言えます。

まとめ

企業版ふるさと納税は、2020年度に比べより一層、活用されるようになってきています。
企業が寄附をする際に重視するポイントとして「地域との関係構築」の割合が上昇しています。
その中でも最終的な寄附実施理由は「自治体担当者の対応力」がトップとなっており、
「企業が求めるプロジェクト内容や寄付の目的などを理解して提案できる人材が自治体にいる」ことが重要だと考えられます。

ここからは、企業・自治体の2020年度から2023年度の4年間でのトレンドを説明します。

企業の上昇トレンド

制度内容を理解していない割合の上昇、仲介サービス需要増の可能性

企業の上昇トレンドです。
「事前に認定が必要であること」「自社のPRに活用しても良いということ」「寄付の最低額の条件」を知らなかったりなど、企業版ふるさと納税の制度内容を理解してない割合が上昇しました。
これは、活用が拡がってきた状況において、制度を勉強する時間的な余力、人材的余裕がない傾向が強まっていることの表れと考えられます。仲介サービス需要が増加していることも分かっています。

企業の下降トレンド

自治体からの情報提供が十分でない可能性

企業の下降トレンドです。
「賛同できるプロジェクトが見つからなかった」「PR効果が得られるイメージを持てていない」「自治体からの寄付募集の情報が入りにくくなった」など、自治体からの「情報提供が十分でない」ことが分かります。
このような点は、今後の寄附募集の活動において活かす必要があります。

企業の下降トレンドの分析

複数選択できる回答からみえる変化

トレンドで取り上げた実際の設問への回答状況を見てみると、回答にあたり複数選択できる設問で選択肢の数が減ったという変化がみられます。各企業で寄付をする際の重視ポイントはさまざまですが、寄付理由の対象は絞られてきていることが分かりました。
企業が何を目的とした寄付を検討しているのかを正しく理解して提案する必要性が高まっていることがこのグラフからも窺えます

地方公共団体の上昇トレンド

寄附を受けた自治体は89.6%

地方公共団体の上昇トレンドです。
寄付を受けとったことのある自治体の割合が飛躍的に上昇しています。
上昇した背景には、民間サービスを活用する団体の増加、寄附募集活動が活発化している影響があるようです。
寄附に対するお礼として、感謝状を贈ったり、自治体のWEBページに企業名等を掲載するなどの活動が一般化してきています。

地方公共団体の下降トレンド

民間サービスの活用は一般的になっている傾向

地方公共団体の下降トレンドです。
民間サービス利用料の予算化が困難という回答の割合が最も低下しました。
上昇トレンド・下降トレンドからも、民間サービスの利用が一般的になってきていることが分かりました。
寄附受入なし、民間サービス利用なし、募集活動なしの割合が低くなっています。

いかがでしたでしょうか。
ここまでが概要や変化のトレンドになっています。
この調査とほぼ同時期に内閣府より発表された令和4年度の寄付実績を見ると、税制改正が行われた令和2年度以降の寄付総額は4年間で10倍に増加しています。
企業版ふるさと納税の活用における意義やメリットは市場に浸透してきたことが分かり、今後はその活用目的・活用方法に注目が集まることが予想されます。

株式会社カルティブ 小坪

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