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2023.05.08

  • 企業

企業版ふるさと納税 人材派遣型の対象のプロジェクト、自治体は?

対象のプロジェクト、自治体は?

金銭による通常の企業版ふるさと納税による寄付の受入れが可能な自治体は全てが対象となります。自治体から内閣府へ人材派遣型に特化した追加の申請や相談・報告等は必要ありません。

ただし、自治体視点では、1人の自治体職員を雇用する流れになりますので、その雇用形態の整備等の人材派遣型企業版ふるさと納税による人材の採用を想定して準備されている自治体はまだまだ少ないのが実態です。自治体によっては人材派遣型企業版ふるさと納税による寄付を募集していることをホームページ等で掲載している例もありますが、情報集約は進んでいない状況です。

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調整をスムーズにすすめるためのポイント・注意点

「送り出す方の人選や勤務形態や雇用条件等の要件の整理」を事前に進めておくと寄付の可否も含めて自治体との調整がスムーズに進みます。

企業にとっては、派遣した社員は自治体の職員として勤務する必要があるため、転籍、つまり自社を退職させその後に自治体に入庁させることが基本となっています。その場合、一度退職させた社員が自治体での職務のあとに、自社に戻ってきてくれる保証はできなので心理的なハードルとなっているようです。

そういった事態を防ぐための雇用形態として、人材派遣型の活用において一般的になりつつあるのが、「特別職非常勤職員」です。派遣する方が十分なノウハウをお持ちの専門家である場合には、参与・アドバイザーなどの特別職非常勤職員の扱いとすることで地方公務員法が適用外となり、柔軟な勤務形態がとれるようになります。そうすれば、派遣された人材は、自治体と企業の2つの団体の従業員(業務委託等含む)として雇用契約を継続することができ、例えば週に3日だけ、あるいは毎日午前中だけなど、必要に応じて勤務内容を自由に設定することができます。

また、自治体が、民間企業や一般社団法人、NPO法人などに外部委托している事業に寄付をする場合は、これらの団体の従業員として関わることも想定されており、このようなケースも人材派遣型の企業版ふるさと納税の類型と呼ばれます。

具体的な調整を進めるうえでの留意点

最後に、社内外の調整を進めるうえでの留意点をご説明します。

〇 従業員との調整
自治体職員は多様な業務を兼務していることが多く、特定のプロジェクトに専任しているという方は非常に稀です。また、ほぼ全ての職員が3年間ほどで人事異動(人事ローテーション)があり、多くの職場を経験しています。上司やメンバーが数年で全員変わることが一般的ということです。また、当然ですが、行政情報ですので機密情報の保護を遵守することにも注意が必要です。派遣する従業員の方には、行政の当たり前をできるだけしっかりと伝えておきましょう。

〇 自治体との調整
自治体との調整においては、任用される職員の役割を明確にしておくことが挙げられます。ローテーションで業務が変わってしまった、メンバーが変わってしまい思うように進まなくなるなどの事態を避けるため、事前の合意形成し文書や連携協定書として残しておけば、無用なトラブルを避けられます。また、民間企業と自治体では、職場環境や適用される法令などが異なるため、派遣した従業員が困惑することも予想されます。「丁寧に職場ルールを説明していただく」「庁内に寄付企業の従業員が任用されていることやその期間などを周知していただく」ことなどは、調整の段階で自治体人事部にしっかりと要望していきましょう。

自治体と民間企業では業務の慣習などにおいても異なる点が多く、最初は双方が困惑するかもしれません。しかし、自治体にとっては民間企業の働き方の良い点を取り入れる機会であり、民間企業にとっては自治体の意思決定のプロセスを理解する絶好のチャンスともいえます。

 

本コラムの筆者

株式会社カルティブ小坪拓也

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