【地方拠点強化税制】地方へのオフィス移転・拡充の支援について ~内閣府セミナー解説~

内閣府主催「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の分科会として、株式会社カルティブが企画・運営する『地方創生制度活用シリーズセミナー』。本シリーズは、各省庁で制度を企画・運営する担当者から、制度の詳細な仕組みのみならず「施策に込めた想い」までを直接学べる場として開催しています。

拠点税制

本記事は、内閣府 地方創生推進室が登壇した「地方拠点強化税制」のアーカイブ動画の内容を整理した紹介ページです。まずはテキストを通して、制度の全体像や具体的な税制優遇の規模を把握し、社内・庁内での検討資料としてご活用ください。その上で、制度立案者の熱意や詳細なニュアンスにつきましては、ぜひページ下部の動画本編よりご視聴されることをお勧めいたします。

1. 制度の背景と、いま地方移転が注目される理由

【データに基づく現状】
足元の人口動態において、進学や就職を機に20代を中心とする若年層の「東京圏への一極集中(年間10万人超の流入)」が継続しています。
一方で、企業動向を見ると、直近数年間はコロナ禍の影響もあり「企業の本社機能の地方移転」が超過していましたが、2025年以降、再び首都圏への移入が超過(38社の超過)に転じており、地方経済にとって厳しい状況が続いています。

このような課題に対し、BCP(事業継続計画)の観点や、優秀なIT人材の獲得を目的として、群馬県前橋市や宮崎県への拠点新設など、先進的な企業による地方拠点の拡充事例が生まれており、国としてもこれを税制面から強力に後押ししています。

2. 「地方拠点強化税制」とは?(対象となる施設と類型)

東京23区からのオフィス移転、または地方拠点の拡充を行う企業に対し、オフィスの取得価額に応じた法人税の減税を提供する制度です。

対象となる施設(本社機能)

  • 対象となるもの:事務所、研究所、研修所(企画、総務、人事などの部門)
  • 対象外となるもの:工場、営業店舗、営業部門のみの拠点

制度の2つの類型(移転型と拡充型)

本制度は、企業の動きに合わせて「移転型」と「拡充型」の2つに分類されます。

  1. 移転型:東京23区にある本社機能を地方へ移転する場合。(※全部移転である必要はなく、一部移転でも対象となります)
  2. 拡充型:地方から別の地方への移転や、地方における拠点の拡充。東京に本社を置く企業が、移転ではなく「地方に第2・第3の拠点を新設(拡充)する」ケースもこちらに該当し、多くの利用実績があります。

※留意点として、移転型であっても「東京23区から横浜市への移転」など一部対象外となる地域があります。また拡充型でも、愛知県中心部や大阪府中心部などへの移動は対象外となるエリア要件が存在します。

3. 具体的なメリット(税制優遇の規模)

制度を活用することで、オフィス取得価額に対して「税額控除」または「特別償却(前倒しでの償却)」のいずれかの優遇を受けることができます。

税制優遇の比較表

今年度から、新築だけでなく「中古資産の購入」も対象に追加され、活用のハードルが下がりました。

類型通常の優遇率上乗せ要件を満たした場合中古資産の場合(今年度新設)
移転型税額控除 7%
(または特別償却 25%)
税額控除 8%税額控除 4%
拡充型税額控除 4%
(または特別償却 15%)
税額控除 5%税額控除 2%

【上乗せ要件の基準】

  • 大企業:取得価額が50億円以上、かつ雇用者の増加が60人以上(計画および実績)
  • 中小企業:雇用者の増加が2人以上(計画および実績)

企業が実感している定性的なメリット

動画内で紹介された、実際に制度を活用した企業の声として以下のメリットが挙げられています。

  • 業務効率化:複数に分散していた研究所や研修所を地方に集約し、開発力や事業効率が向上した。
  • 採用競争力の強化:東京では大企業と競合してしまい採用が困難な「優秀なIT人材」が、地方拠点だと獲得しやすい。
  • モチベーション向上:オフィス環境が綺麗に整備されることで、従業員の勤労意欲が向上した。

4. 制度を利用する際の必須ステップ

【手続きに関する重要な留意点】
本制度を利用して税制優遇(確定申告)を受けるためには、事前の計画認定が必須となります。

  1. 都道府県知事への申請:地域再生法に基づき、オフィスを整備する前に、移転・拡充先の道府県知事に対して「整備計画」を申請し、認定を受ける必要があります。(※東京都はこの制度を実施していません)
  2. 確定申告:認定を受けた計画に基づき事業を実施した後、国税庁(税務署)にて確定申告を行います。

事後申請は認められないため、オフィス整備の検討段階で、必ず進出予定の自治体窓口へご相談ください。

5. その他の支援措置(地方税減免、金融支援、工場向け制度)

国の法人税減税(地方拠点強化税制)に加えて、以下の支援策を組み合わせることで、移転コストをさらに圧縮することが可能です。

  • 地方税の優遇措置:進出先の自治体によっては、事業税、不動産取得税、固定資産税の減免措置を設けています。
  • 自治体独自の補助金:例として、北海道では企業立地時の設備投資に対して「10%(上限1億円)の補助」や、国庫補助にはない「賃借料への支援」などを行っています。
  • 金融支援:日本政策金融公庫による「長期・固定金利の融資制度」や、中小企業向けの「債務保証制度」が用意されています。
  • 工場向けの別制度:地方拠点強化税制の対象外となる「工場等の設備投資」については、経済産業省の「地域未来投資促進税制(機械装置35%特別償却等)」など、別の税制措置が存在します。

※不確かな情報(変動の可能性)を含みます。対象となる地域区分や要件、自治体独自の支援策は年度や自治体によって異なるため、具体的な検討を進める際は、必ず内閣府の公式ページや該当自治体の公募要領をご確認ください。

セミナー動画のご案内

本記事で全体像をご確認いただいた後は、内閣府担当官の言葉で直接制度の魅力や熱意に触れていただける、以下のアーカイブ動画(約23分)をぜひご視聴ください。

登壇者情報・開催概要

  • 登壇者:内閣官房 地域未来戦略本部事務局  
    内閣府 地方創生推進室 企画官
    斎藤 智哉 氏
  • 登壇者略歴:1978年生まれ。2000年中央大学法学部卒業後、通商産業省(当時)に入省。ベンチャー政策、サービス産業政策、石炭・石油政策を経験。2010年早稲田大学大学院法学修士号取得。その後は、中小企業庁小規模企業振興課や地域経済産業基盤整備課等で、中小企業・地域産業振興政策の企画・立案などを中心に担当。2023年より現職(経済産業省地域経済産業政策課も兼務)。
  • 開催日:2026年4月14日
  • 制度の公式ページ内閣府 地方創生推進事務局 地方拠点強化税制ページ
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