地域脱炭素の中核人材育成事業とは?アドバイザー派遣など環境省の4つの支援策を解説
公開日:2026年7月20日|執筆:river編集部(株式会社カルティブ)
「地域脱炭素の推進に向けた中核人材育成事業」は、自治体の「人材不足」「ノウハウ・知見の不足」という課題に対し、環境省が課題整理前から事業化段階までのフェーズに合わせて展開する人材育成・支援策です。本記事では、環境省の担当者による解説をもとに、4つの支援策と、活用できるツール・優良事例を整理します。

本記事は、環境省 大臣官房 地域政策課が登壇した「地域脱炭素の推進に向けた中核人材育成事業」のアーカイブ動画の内容を網羅的に整理した紹介ページです。まずはテキストを通して環境省の支援策の全体像を把握し、社内・庁内での検討資料としてご活用ください。その上で、担当者の熱意や具体的な事例の詳細なニュアンスにつきましては、ぜひページ下部の動画本編よりご視聴されることをお勧めいたします。
※本記事は2026年6月23日のセミナー開催時点の情報です。最新情報は環境省の公式サイトをご確認ください。
1. 中核人材育成事業の背景:自治体の「人材不足」「ノウハウ不足」への対応
環境省では、令和3年度(2021年度)より全国で「地域脱炭素」の取り組みを推進していますが、多くの自治体において「人材不足」「ノウハウ・知見の不足」により、事業が円滑に進まないという課題がありました。
これを受け、環境省では、自治体のフェーズ(課題整理前~事業化段階)に合わせた多角的な人材育成・支援策を展開しています。
2. 環境省が提供する4つの支援策
自治体の状況に応じて活用できる、具体的な支援パッケージは以下の通りです。
① 脱炭素相談窓口(全国相談窓口)
「そもそも何をしたらいいかわからない」「どの専門家に頼めばいいかわからない」といった、取り組み初期段階の自治体向けの相談窓口です。広く知見を有する事務局が課題を整理し、アドバイザー派遣や他の支援事業への適切な誘導を行います。
② 脱炭素まちづくりアドバイザー派遣
専門的な知見を持つ民間事業者や自治体職員を「アドバイザー」として登録し、希望する自治体へ派遣する制度です。課題のフェーズに合わせて以下の3つの派遣形式が用意されています。
- スポット型:現地訪問1回+オンライン2回程度。相談窓口から随時受け付け可能。
- 伴走型:現地訪問2回+オンライン4回程度。中長期的な事業化支援を実施。
- 都道府県型(今年度新設):管内の市町村を支援する都道府県に対して専門家を派遣し、横断的なフォローを実施。
※今年度から、自治体が参画する協議会や協定締結団体からの申請も可能となりました。
③ 専門人材育成のための各種セミナー・講座
- 地域脱炭素セミナー:地域経済循環分析や太陽光発電のPPA(電力販売契約)実務など、テーマを絞ったオンライン基礎講座。
- 新電力講座:今年度より「一般コース」に加え、事業計画書や収支計画書の作成を実習で学ぶ「事業化実践コース」を新設。
- 木質バイオマス講座(今年度新設):オンライン講座に加え、先進地である岡山県真庭市での現地研修を実施。
④ 官民連携強化事業(地域脱炭素マッチングイベント)
地域脱炭素の推進に向け、自治体と民間企業が直接対話し、協業の可能性を探るマッチングイベントです。
- 東京開催:2026年10月23日にベルサール秋葉原で開催。今年度はプレゼンを事前収録(動画共有)とし、当日はグループトークや1対1のマッチングに時間を割く実践的なプログラムに変更されています。
- 地方ブロック開催:北海道・東北・関東・中部・中国・四国・九州・沖縄の各ブロックでも同様の官民連携強化事業を実施予定です。
- 伴走支援:単なるイベント開催にとどまらず、事前に自治体向けのメンタリング(課題の伝え方の助言等)を行い、事後にもフォローを実施することで、協業に必要なスキルを育成します。
3. 情報収集に役立つ環境省のツールと再エネ優良事例
脱炭素地域づくり支援サイト
環境省が提供する支援策(人材育成、相談窓口など)の詳細がまとめられたポータルサイトです。
地域経済循環分析ツールと施策立案研修
環境省が提供する分析ツール。埼玉県所沢市の環境調査研修所にて、本ツールを活用した施策立案研修(3日間)も実施されます。
地域と共生する再エネ優良事例(北海道白糠町など19事例)
北海道白糠町の事例(メガソーラーと羊の放牧の組み合わせによる子育て支援財源の確保など)をはじめ、地域課題の解決と再エネ導入を両立させた19の優良事例が動画や記事で公開されています。
環境省セミナー動画|地域脱炭素の中核人材育成事業(約29分・チャプター付き)
本記事で全体像をご確認いただいた後は、環境省担当官の言葉で直接各支援策の目的や実例のニュアンスに触れていただける、以下のアーカイブ動画(約29分)をぜひご視聴ください。
- [00:04:32] 地域脱炭素に向けた自治体の課題と、環境省によるロードマップ(全体像)
- [00:05:49] 脱炭素相談窓口と「脱炭素まちづくりアドバイザー派遣」の詳細
- [00:10:34] 各種セミナー・講座(地域経済循環分析、新電力、木質バイオマス)の紹介
- [00:14:22] 官民連携強化事業(地域脱炭素マッチングイベント)と事前事後メンタリング
- [00:23:41] 【動画紹介】北海道白糠町における再エネ優良事例
登壇者情報・開催概要
- 登壇者:環境省 大臣官房 地域政策課 地域循環共生推進室 環境専門員 菅沼 憲正 氏
- 登壇者略歴:2025年から環境省へ出向。脱炭素まちづくりアドバイザー制度を始め、地域脱炭素の人材育成事業全般を担当。出向元でも脱炭素先行地域や重点対策加速化事業など脱炭素に関わる環境行政を担当。
- 開催日:2026年6月23日
まとめ|自治体のフェーズ別に使える環境省の支援策
環境省の中核人材育成事業は、「何から始めればよいかわからない」初期段階から事業化段階まで、自治体のフェーズに合わせて次の4つで構成されています。
- 脱炭素相談窓口:課題整理とアドバイザー派遣・他支援事業への誘導
- 脱炭素まちづくりアドバイザー派遣:スポット型・伴走型・都道府県型の3形式
- 各種セミナー・講座:地域脱炭素セミナー、新電力講座(事業化実践コース新設)、木質バイオマス講座
- 官民連携強化事業:東京・地方ブロックでのマッチングイベントと事前事後のメンタリング
あわせて、脱炭素地域づくり支援サイト、地域経済循環分析ツール、再エネ優良事例の特設サイトが情報収集に活用できます。
よくある質問(FAQ)
Q. 脱炭素まちづくりアドバイザー派遣にはどんな形式がありますか?
A. スポット型(現地訪問1回+オンライン2回程度)、伴走型(現地訪問2回+オンライン4回程度)、都道府県型(管内市町村を支援する都道府県への派遣)の3形式です。自治体が参画する協議会や協定締結団体からの申請も可能になっています。
Q. 何から始めればよいかわからない自治体はどこに相談すればよいですか?
A. 取り組み初期段階の自治体向けに「脱炭素相談窓口(全国相談窓口)」があり、事務局が課題を整理したうえでアドバイザー派遣や他の支援事業へ誘導します。
Q. 官民連携強化事業(マッチングイベント)はイベント当日だけの支援ですか?
A. いいえ。事前に自治体向けのメンタリング(課題の伝え方の助言等)を行い、事後にもフォローを実施する伴走支援が含まれます。
この記事について
内閣府主催「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の分科会として、株式会社カルティブが企画・運営する『地方創生制度活用シリーズセミナー』。本シリーズは、各省庁で制度を企画・運営する担当者から、制度の詳細な仕組みのみならず「施策に込めた想い」までを直接学べる場として開催しています。
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