企業版ふるさと納税で災害支援|復旧・復興への活用方法を解説

企業版ふるさと納税は、地域の産業振興や子育て支援だけでなく、自然災害からの復旧・復興にも活用できます。

地震、台風、大雨などの災害が発生した際、被災した自治体では、道路・公共施設の復旧、地域産業の再生、防災機能の強化、生活環境の再建など、中長期にわたる復旧・復興の取り組みが必要になります。

企業は、こうした自治体の地方創生・復興事業に企業版ふるさと納税を通じて寄附することで、地域の復旧・復興を資金面から支援できます。

企業版ふるさと納税を活用した災害支援

このページでは、企業版ふるさと納税を活用した災害支援の仕組みや、企業・自治体それぞれの活用方法、発災から寄附までの流れ、制度利用時の注意点について解説します。

このページでわかること

  • 企業版ふるさと納税を災害支援に活用できる仕組み
  • 一般的な災害義援金・支援金との違い
  • 発災直後の救援と復旧・復興支援の違い
  • 企業が災害支援に参加する方法
  • 自治体が企業からの寄附を受け入れるための準備
  • river・企ふるオンラインを活用した災害支援の流れ
  • 災害支援で企業版ふるさと納税を利用する際の注意点

企業版ふるさと納税は災害からの復旧・復興にも活用できる

企業版ふるさと納税は、正式には「地方創生応援税制」と呼ばれる制度です。

国が認定した地域再生計画に位置付けられた地方創生事業に企業が寄附した場合、通常の損金算入に加えて法人関係税の税額控除を受けられる仕組みとなっています。

企業版ふるさと納税の対象となる事業には、防災対策や災害からの復旧・復興に関する取り組みも含まれます。

内閣府では、自然災害からの復旧・復興事業について企業版ふるさと納税の活用を案内しており、災害の規模や緊急性、企業からの寄附の申し出などを踏まえ、通常の認定申請期間とは別に地域再生計画の認定申請を個別に受け付ける場合があります。

つまり、企業版ふるさと納税は、平時の地方創生だけではなく、災害によって生じた地域課題からの復旧・復興を企業が支える仕組みとしても活用できます。

企業版ふるさと納税の仕組み

「発災直後の支援」と「復旧・復興支援」を分けて考える

災害支援を考える際に重要なのが、発災直後の「救助・救援」と、その後の「復旧・復興」を分けて考えることです。

フェーズ主な取り組み支援の例
発災直後・救助救援人命救助、避難、医療、物資供給など専門機関による救助活動、義援金、緊急物資支援など
復旧生活・行政機能の回復道路・施設等の復旧、生活環境の再建、事業再開支援など
復興地域の再生・将来に向けた再構築産業再生、防災強化、まちづくり、地域コミュニティ再生など

riverでは、発災直後の現地での救助・援助などは専門機関等による支援を基本としながら、企業版ふるさと納税を活用できる中期的な復旧・復興フェーズに向けた支援体制の構築を重視しています。

災害発生直後だけでなく、数か月、数年と続く地域の復興に企業が関わる仕組みをつくることが、企業版ふるさと納税を活用する意義の一つです。

災害対応のフェーズと企業版ふるさと納税制度の関係

災害支援に企業版ふるさと納税を活用するメリット

企業にとってのメリット

企業版ふるさと納税を活用することで、企業は自治体が実施する具体的な復旧・復興事業を選び、地域の再生を支援できます。

主な特徴として、次のような点があります。

  • 自治体の具体的な復旧・復興事業を支援できる
  • 自社のCSR・SDGs・ESGや地域貢献方針に沿った支援先を検討できる
  • 単発の緊急支援だけでなく、中長期的な復興支援に参加できる
  • 対象となる寄附について、企業版ふるさと納税による税制優遇を受けられる場合がある
  • 自治体からの事業報告等を通じて、寄附金がどのような取り組みに活用されたか確認しやすい

ただし、税額控除には企業ごとの法人関係税額等に応じた上限があります。また、寄附の代償として自治体から経済的利益を受けることはできません。

税制優遇と税額控除の仕組み

自治体にとってのメリット

被災した自治体にとって、復旧・復興には長期間にわたりさまざまな財源が必要となります。

企業版ふるさと納税を活用することで、国の補助制度や自治体独自財源などとあわせて、企業から地域再生に向けた資金を受け入れる選択肢を持つことができます。

また、寄附をきっかけとして企業に地域の現状や復興計画を知ってもらうことで、中長期的な地域との関係づくりにつながる可能性もあります。

ただし、企業版ふるさと納税として寄附を受け入れるには、対象事業が地域再生計画に適切に位置付けられていることなど、制度上の要件を満たす必要があります。

災害時は地域再生計画の認定について個別相談できる場合がある

企業版ふるさと納税の活用には、原則として対象となる地方創生事業が国の認定を受けた地域再生計画に位置付けられている必要があります。

一方、自然災害への対応には迅速性が求められます。

内閣府では、自然災害からの復旧・復興事業に企業版ふるさと納税を活用する場合について、事業の規模や緊急性、企業からの寄附のスケジュールや金額などを踏まえ、通常の認定申請期間にかかわらず個別に相談・申請を受け付ける場合があるとしています。

特別警報が発令された場合や震度6弱以上の地震が発生した場合などに被災した自治体についても、個別相談・申請の対象として案内されています。

そのため、災害発生後に企業から寄附の申し出があった場合でも、既存の地域再生計画だけで判断せず、必要に応じて内閣府へ相談することが重要です。

なお、災害からの復旧・復興に関する特例的な認定申請には対象事業等の条件があります。個別の事業が企業版ふるさと納税の対象となるかについては、最新の内閣府資料等を確認してください。

企業版ふるさと納税による災害支援の流れ

一般的には、次のような流れで進みます。

STEP1 災害が発生する

地震、台風、大雨などによって自治体に被害が発生します。

まずは人命救助や避難、医療、物資供給などの緊急対応が優先されます。

STEP2 自治体が復旧・復興ニーズを整理する

被害状況を把握しながら、自治体が今後必要となる復旧・復興事業を整理します。

例えば、次のような事業が考えられます。

  • 被災した公共施設等の復旧・再整備
  • 地域産業・観光産業等の再生
  • 防災・減災機能の強化
  • 地域コミュニティの再生
  • 子ども・高齢者など被災住民への中長期的な支援
  • 災害に強い地域づくり

STEP3 企業版ふるさと納税の対象事業として整理する

自治体は、復旧・復興事業と地域再生計画との関係を確認します。

新たな地域再生計画や計画変更等が必要となる場合には、内閣府への相談・申請を検討します。

STEP4 企業へ災害支援事業を発信する

寄附を募集する復旧・復興事業について、目的、被害状況、必要な支援、寄附金の活用方法などを企業へ発信します。

企業が判断しやすいよう、「何が起きているのか」「何のために寄附が必要なのか」「寄附によってどのような復旧・復興を目指すのか」を具体的に示すことが重要です。

STEP5 企業が支援先を検討し、寄附する

企業は、自社の地域との関係、事業領域、CSR・SDGs・ESG方針なども踏まえて寄附先を検討します。

寄附を決定した後、自治体への寄附申出、寄附金の納付など必要な手続きを行います。

STEP6 自治体が復旧・復興事業を実施する

自治体は寄附金を対象事業に活用し、復旧・復興を進めます。

STEP7 活用状況を企業へ報告する

自治体が寄附金の活用状況や事業の進捗を企業へ伝えることで、寄附後も継続的に地域の復興状況を共有できます。

【画像挿入位置:自治体・企業・地域再生計画・寄附・復旧復興を示す災害支援フロー図】

riverを活用した災害支援

riverを活用した災害支援

riverでは、企業と自治体の双方が企業版ふるさと納税を活用して復旧・復興を支援しやすい環境づくりに取り組んでいます。

災害支援の受付情報を発信

被災自治体の企業版ふるさと納税による寄附受付情報を整理し、「災害支援」プロジェクトとして企業へ発信します。

企業が支援可能な自治体や復旧・復興事業を把握しやすくすることで、寄附先を検討するための情報提供を行います。

企ふるオンラインで寄附受付

オンライン企業版ふるさと納税寄附サイト「企ふるオンライン」を活用し、災害支援に関する寄附受付ページを設置できます。

対象プロジェクトでは、企業がオンラインで寄附を申し込める環境を整えることができます。

企業へ災害支援情報を案内

riverでは、災害支援の受付情報を企業へ案内し、支援を検討している企業と寄附を募集する自治体との接点づくりを支援します。

riverに登録している企業は、災害支援受付に関する情報を確認し、支援先を検討できます。

復旧・復興フェーズで企業と自治体をつなぐ

災害支援では、企業が「支援したい」と考えていても、どの自治体がどのような支援を必要としているのか分からないケースがあります。

一方、被災自治体も、災害対応に追われる中で企業への情報発信や寄附相談への対応まで十分に手が回らない場合があります。

riverでは、自治体の復旧・復興ニーズと企業の支援意向を整理し、双方をつなぐことで、中長期的な復興支援につながる環境づくりを目指しています。

企業が災害支援を検討する際のポイント

企業版ふるさと納税による災害支援を検討する際は、次の点を確認しましょう。

  1. 寄附先自治体・対象事業が企業版ふるさと納税の対象となっているか
  2. 本社所在地の自治体への寄附ではないか
  3. 寄附金がどのような復旧・復興事業に活用されるか
  4. 自社のCSR・SDGs・ESG、地域貢献方針との関連性
  5. 社内決裁や寄附手続きに必要な期間
  6. 税額控除の上限
  7. 寄附の代償として経済的利益を受けられないこと

企業版ふるさと納税の寄附額の下限は10万円です。税制優遇による税負担軽減効果は最大約9割となる場合がありますが、実際の控除額は企業の法人関係税額等によって異なります。

自治体が災害支援の寄附を募集する際のポイント

自治体では、発災してから寄附募集の仕組みをゼロから構築するのではなく、平時から企業版ふるさと納税を活用できる体制を整えておくことが重要です。

特に、次のような準備が考えられます。

  • 地域再生計画の内容を確認しておく
  • 災害時の企業版ふるさと納税担当部署・担当者を決めておく
  • 被害状況や復旧・復興ニーズを整理する体制を決めておく
  • 企業向けに発信する情報の項目を準備しておく
  • 寄附申出・受領・受領証発行等の手続きを確認しておく
  • 寄附企業への事業報告方法を決めておく

企業から「支援したい」という申し出があった際に速やかに対応できるよう、平時から受入体制を準備しておくことが、支援機会を活かすうえで重要です。

企業版ふるさと納税による災害支援の注意点

すべての災害支援が企業版ふるさと納税の対象になるわけではありません

企業版ふるさと納税の税制優遇を受けるためには、地域再生計画や対象事業など制度上の要件を満たす必要があります。

単に「被災自治体へ寄附する」というだけで、自動的に企業版ふるさと納税になるわけではありません。

発災直後の義援金とは制度の性格が異なります

企業版ふるさと納税は、地方公共団体が行う地方創生・地域再生事業への寄附を対象とする制度です。

被災者へ直接配分される義援金などとは仕組みや目的が異なります。

国の補助金・交付金との関係を確認する必要があります

自然災害からの復旧・復興に関する地域再生計画の特例的な認定申請では、国の補助金・交付金等との関係について条件があります。

対象事業を設計する自治体は、事前に最新の制度要件を確認し、必要に応じて内閣府等へ相談してください。

寄附企業への経済的利益の供与は禁止されています

企業版ふるさと納税では、寄附の代償として寄附企業へ経済的利益を供与することは禁止されています。

災害支援の場合でも、このルールは変わりません。

災害時だけでなく、平時から企業と地域の関係をつくる

企業による災害支援を円滑に進めるためには、災害が起きてから初めて企業と自治体が接点を持つのではなく、平時から地域課題や防災について情報共有し、関係を構築しておくことも重要です。

企業版ふるさと納税は、単に資金を提供する制度ではありません。

平時には防災・減災や地域課題解決を企業と自治体がともに考え、災害発生時には復旧・復興に必要な資金や企業の支援意向を地域につなげる。

そのような継続的な官民連携をつくる手段の一つとして、企業版ふるさと納税を活用できます。

企業版ふるさと納税を活用した災害支援についてご相談ください

riverでは、企業版ふるさと納税を活用した地域課題解決を支援しています。

企業の方には、災害支援を含む寄附先・プロジェクトの検討や自治体との調整を、自治体の方には、復旧・復興事業の整理、寄附募集に向けた情報発信、企業とのマッチングなどを支援します。

災害支援に企業版ふるさと納税を活用したい企業・自治体の方は、お気軽にご相談ください。

企業版ふるさと納税を活用した災害支援について相談する

よくある質問

Q. 企業版ふるさと納税で被災自治体を支援できますか?

はい。被災自治体が行う復旧・復興事業が企業版ふるさと納税の対象事業として制度要件を満たしている場合、企業版ふるさと納税を活用して寄附できます。

Q. 災害発生後に地域再生計画を作成することはできますか?

自然災害からの復旧・復興事業については、事業の規模や緊急性などを踏まえ、通常の認定申請時期にかかわらず個別に相談・申請を受け付ける場合があります。具体的な案件は内閣府への確認が必要です。

Q. 災害義援金と企業版ふるさと納税は同じですか?

異なります。義援金は一般に被災者へ配分することを目的とするのに対し、企業版ふるさと納税は自治体が実施する地域再生・地方創生事業への寄附です。

Q. 寄附すれば必ず最大約9割の税負担軽減を受けられますか?

いいえ。企業版ふるさと納税では、損金算入と税額控除を合わせて最大約9割の税負担軽減効果となる場合がありますが、実際の控除額には企業ごとの法人関係税額等に応じた上限があります。

Q. 本社所在地の被災自治体にも企業版ふるさと納税で寄附できますか?

本社が所在する地方公共団体への寄附は、企業版ふるさと納税の税制優遇の対象外です。通常の法人寄附など、別の支援方法を検討することになります。

Q. riverでは災害発生時にどのような支援を行いますか?

被災自治体の寄附受付情報の発信、企ふるオンラインでの災害支援プロジェクトの掲載、企業への情報提供、企業と自治体の支援ニーズのマッチングなどを通じて、復旧・復興フェーズでの企業版ふるさと納税活用を支援します。

寄附予定金額:-
自己負担額:-
自己負担割合:-