地域少子化対策重点推進交付金とは?結婚支援・ライフデザイン支援の自治体事例をこども家庭庁が解説
公開日:2026年8月1日|執筆:river編集部(株式会社カルティブ)
地域少子化対策重点推進交付金は、若い世代のライフデザイン形成支援や出会いの機会創出、結婚支援コンシェルジュの配置、結婚・子育てに温かい社会づくりの気運醸成など、自治体の少子化対策を国が補助する仕組みです。本記事では、こども家庭庁の担当者の解説をもとに、少子化の現状、交付金の支援メニューと補助率、岩手県・鳥取県・岡山県など全国自治体の活用事例を整理します。

本記事は、こども家庭庁 長官官房 少子化対策室が登壇した「地方に若者を呼び込むためのライフデザイン・結婚支援」のアーカイブ動画の内容を網羅的に整理した紹介ページです。まずはテキストを通して少子化の現状や交付金の全体像、全国自治体の先進事例を把握し、社内・庁内での検討資料としてご活用ください。その上で、担当者の熱意や具体的な事例の詳細なニュアンスにつきましては、ぜひページ下部の動画本編よりご視聴されることをお勧めいたします。
1. 少子化の現状と「若者が結婚しない理由」の背景
2025年(令和7年)の出生数は約67.1万人、合計特殊出生率は1.14となり、過去最低を更新するなど少子化の進行が続いています。少子化の要因を分析すると、女性人口自体の減少(人口要因)に加え、未婚化の進行(有配偶率要因)が大きく影響しています。
国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」によると、25〜34歳の未婚者が独身でいる理由のトップは男女ともに「適当な相手に巡り合わない(男性43.3%、女性48.1%)」ですが、一方で「自由さや気楽さを失いたくない」「今は趣味や娯楽を楽しみたい」といった回答も増加傾向にあります。
かつてのように「結婚して子どもを持つこと」が当然の人生目標ではなくなり、価値観やライフスタイルの多様化が進んでいることが窺えます。一方で、「いずれ結婚するつもり」と答えた未婚者の割合は8割を超えており、行政による出会いの場の提供や公的な結婚支援への期待は依然として高く存在しています。
2. 地域少子化対策重点推進事業:自治体の結婚支援・ライフデザイン支援を補助
若い世代の多様な意識や課題に対応するため、こども家庭庁では「地域少子化対策重点推進交付金」を通じて自治体の取り組みを強力に支援しています。交付金は主に以下の支援ピラーで構成されています。
① 地域少子化対策重点推進事業:自治体の結婚支援・ライフデザイン支援を補助
- ライフデザイン・結婚支援重点推進事業:若い世代の描くライフデザイン形成支援、地域の結婚支援ボランティア・事業者を活用した伴走型支援、出会いの機会創出などを補助(補助率:3/4、2/3、1/2など条件に応じて適用)。
- 結婚支援コンシェルジュ事業:専門的知見を持つコンシェルジュを都道府県に配置し、市町村の結婚支援を技術面・情報面からサポート。
- 結婚・子育てに温かい社会づくり・気運醸成事業:企業や地域全体で結婚・子育て、仕事との両立を応援する機運を醸成。
② 結婚・妊娠・共育ての相談機会提供・支援プログラム:新婚世帯の住宅費用を補助
ライフデザイン支援講座やプレコンセプションケアに関する講座等を受講した新婚世帯(夫婦ともに39歳以下・世帯所得500万円未満)を対象に、自治体が実施する住宅取得・リフォーム・賃借費・引越費用の補助(上限30万〜60万円)を国が支援(補助率:2/3、1/2)。
3. 地域少子化対策重点推進交付金の自治体活用事例
本セミナーでは、地域の実情に合わせて交付金を有効活用している全国の先進事例が多数紹介されました。
出会いの場の創出:広域連携・官民連携の事例(岩手県・鳥取県・南相馬市)
- 岩手県(4市町合同婚活事業):一関市・平泉町・登米市・栗原市の県境を越えた4市町が連携。単独開催よりも定員充足率・カップル成立率(約25%)が高く、事前セミナーと組み合わせた質の高い出会いの場を提供。
- 鳥取県(官民連携による出会いの機会創出):マッチング事業者(㈱オミカレ)と連携協定を締結。Z世代向けに「婚活」という言葉を使わず、アプリを活用したイベント企画で若年層の参加意欲を喚起。
- 福島県南相馬市(指定結婚相談所利用者支援事業):市が指定する民間結婚相談所の初期費用(20万円)を補助。専任コンシェルジュの伴走により、半年以内の成婚を後押し。
ライフデザイン形成と体験支援の事例(岡山県・佐賀県)
- 岡山県(子育て家庭やこどもとの触れ合い体験事業):中高生向けの「赤ちゃん触れ合い体験」や、18〜39歳向けの「子育て家庭留学(1日訪問)」を実施。リアルな育児や保護者の声に触れることで、将来のライフイベントへの不安を解消。
- 佐賀県(SAGA未来デザイン事業):大学生向けライフデザインセミナーと子育て家庭体験をセットで実施。就職前の段階からキャリアと育児の両立イメージを具体化。
地域密着の伴走支援・気運醸成の事例(天理市・四日市市ほか)
- 奈良県天理市(ハロパトメンターと連携した伴走支援):市民ボランティア「ハロパトメンター」を養成・育成し、地域ぐるみで結婚・生活の相談に応じる「ハローパートナーシップ」を展開。
- 三重県四日市市(父親の子育てマイスター事業):養成講座を修了した200名超のパパボランティア(パパスマイル四日市)と協働し、父親目線の情報誌「よかパパ」発行やイベントを開催。
- その他の注目事例:京都市の「京都版ミニ・ミュンヘン(子どもによる仮想のまちづくり)」、福岡市「離島縁結びイベント」、岡山県奈義町「子育て体験留学・コミュニティ形成」、静岡県伊豆市「パパママライターによる情報誌発行」など。
4. 企業・団体間連携と職場環境の整備
若者が地域に定着し、安心して人生設計を描くためには、行政だけでなく企業や職場の協力が不可欠です。
- 鹿児島県鹿児島市(企業・団体間交流・出会いサポート事業):「企業&団体向け出会い交流みんなでサポートセンター」を設置し、登録した91団体間での大規模交流イベントやライフデザインセミナーを開催。業種を超えた出会いと応援の機運を醸成。
- 神奈川県相模原市(仕事と家庭両立支援事業):就労環境整備アドバイザー(社会保険労務士)を企業へ派遣し、就労規則の改定や「くるみん認定」の取得支援、男性育休取得促進セミナーを実施。
こども家庭庁セミナー動画:地域少子化対策重点推進交付金と結婚支援の自治体事例(約28分)
本記事で全体像をご確認いただいた後は、こども家庭庁担当官の言葉で直接制度の背景や各地のユニークな事例のニュアンスに触れていただける、以下のアーカイブ動画(約28分)をぜひご視聴ください。
- [00:03:11] 少子化の現状と「若者が結婚しない理由」の要因分解・対応策
- [00:13:46] 地域少子化対策重点推進交付金の概要(事業区分と補助率)
- [00:15:30] 【事例】岩手県4市町(県境を越えた広域合同婚活)
- [00:16:29] 【事例】岡山県(中高生向け赤ちゃん触れ合い・子育て家庭留学)
- [00:18:07] 【事例】佐賀県(大学生向けライフデザイン・家庭体験)
- [00:19:05] 【事例】福島県南相馬市(結婚相談所初期費用補助)
- [00:19:51] 【事例】鳥取県(民間事業者オミカレとの官民連携イベント)
- [00:20:31] 【事例】奈良県天理市(市民ボランティア「ハロパトメンター」)
- [00:21:16] 【事例】福岡市(離島での縁結び・気運醸成イベント)
- [00:22:27] 【事例】鹿児島市(企業・団体間交流サポート)
- [00:23:40] 【事例】三重県四日市市(父親の子育てマイスター「よかパパ」)
- [00:24:27] 【事例】神奈川県相模原市(両立支援アドバイザー派遣・くるみん認定)
登壇者情報・開催概要
- 登壇者:こども家庭庁 長官官房 少子化対策室 嶋田 氏
- 登壇者略歴:こども家庭庁で少子化対策を担当しております嶋田です。少子化対策室長として、結婚、子育て、仕事との両立支援など、こどもを持ちたいという希望がかなう社会の実現に向けた政策の企画・立案、関係省庁や自治体との連携、施策の推進等に取り組んでいます。現場の声を丁寧に受け止め、実効性のある取組につなげていくことを大切にしています。
- 開催日:2026年7月28日
まとめ
- 2025年の出生数は約67.1万人、合計特殊出生率は1.14と過去最低を更新。未婚化の進行が少子化の大きな要因です。
- 25〜34歳の未婚者が独身でいる理由のトップは「適当な相手に巡り合わない」で、「いずれ結婚するつもり」と答える人は8割超。公的な結婚支援への期待は依然高い状況です。
- 地域少子化対策重点推進交付金は、ライフデザイン・結婚支援重点推進事業、結婚支援コンシェルジュ事業、気運醸成事業に加え、新婚世帯の住宅取得・引越費用等の補助を支援します。
- 自治体事例では、県境を越えた広域合同婚活(岩手県)、民間マッチング事業者との連携(鳥取県)、子育て家庭留学(岡山県)、市民ボランティアによる伴走支援(天理市)、企業・団体間の出会い交流(鹿児島市)など、地域の実情に合わせた活用が進んでいます。
よくある質問(FAQ)
Q. 地域少子化対策重点推進交付金ではどのような事業が対象になりますか?
A. 若い世代のライフデザイン形成支援や出会いの機会創出、結婚支援コンシェルジュの都道府県配置、結婚・子育てに温かい社会づくりの気運醸成などが対象です。補助率は3/4、2/3、1/2など条件に応じて適用されます。
Q. 新婚世帯への住宅費用補助はどのような条件ですか?
A. ライフデザイン支援講座やプレコンセプションケアに関する講座等を受講した、夫婦ともに39歳以下・世帯所得500万円未満の新婚世帯が対象です。住宅取得・リフォーム・賃借費・引越費用を自治体が補助し(上限30万〜60万円)、国が補助率2/3または1/2で支援します。
Q. 広域連携や民間事業者との連携はできますか?
A. セミナーでは、岩手県の4市町合同婚活事業や、鳥取県が民間マッチング事業者と連携協定を結んだ事例が紹介されました。単独開催より定員充足率やカップル成立率が高まった例もあります。
この記事について
内閣府主催「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の分科会として、株式会社カルティブが企画・運営する『地方創生制度活用シリーズセミナー』。本シリーズは、各省庁で制度を企画・運営する担当者から、制度の詳細な仕組みのみならず「施策に込めた想い」までを直接学べる場として開催しています。
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