企業版ふるさと納税の仕組みと最新動向|令和9年度まで延長・人材派遣型を内閣府が解説

公開日:2026年7月20日|執筆:river編集部(株式会社カルティブ)

企業版ふるさと納税は、地方自治体の地方創生事業に企業が寄付を行うと、法人関係税から税額控除を受けられる制度で、損金算入と合わせて最大約9割の税負担が軽減されます。本記事では、内閣府の担当官による解説をもとに、制度の基本ルール、人材派遣型と「副業タイプ」、令和7年度税制改正による令和9年度までの延長と運用ルールの改善、令和6年度の活用実績、国の促進策と大臣表彰事例を整理します。

【企業版ふるさと納税】制度の仕組みと最新の活用動向 ~内閣府セミナー解説~

本記事は、内閣府 地方創生推進室が登壇した「企業版ふるさと納税の活用について」のアーカイブ動画の内容を網羅的に整理した紹介ページです。まずはテキストを通して制度の全体像や最新の運用ルールを把握し、社内・庁内での検討資料としてご活用ください。その上で、担当者の熱意や具体的な事例の詳細なニュアンスにつきましては、ぜひページ下部の動画本編よりご視聴されることをお勧めいたします。

1. 企業版ふるさと納税とは:税額控除の仕組みと活用実績

企業版ふるさと納税は、地方自治体が行う地方創生の取り組みに対して企業が寄付を行った場合、法人関係税から税額控除される仕組みです。

最大約9割の税額軽減と基本ルール(10万円以上・本社所在自治体は対象外)

  • 損金算入による軽減効果(約3割)と合わせ、法人関係税から最大約6割の税額控除が受けられるため、実質的な企業の負担額は約1割となります。
  • 寄付を行うことの代償として経済的な利益を受けることは禁止されています。また、本社が所在する自治体への寄付は対象外であり、1回あたり10万円以上の寄付が本制度の対象となります。

地域再生計画の認定が前提(認定1,631団体)

制度の活用には、自治体が地方版総合戦略に基づき「地域再生計画」を策定し、事前に内閣府の認定を受ける必要があります。現在、全自治体の約9割にあたる1,631団体が認定を受けています。

令和6年度の活用実績:寄付総額631.4億円

寄付総額は631.4億円(前年比約1.3倍)、寄附件数は18,457件、寄付企業数は8,464社と、いずれも前年度から大きく増加しており、制度の利用が急速に広がっています。

2. 人材派遣型企業版ふるさと納税と新たな「副業タイプ」

単なる資金面での支援にとどまらず、寄付と合わせて企業から自治体へ専門人材を派遣する「人材派遣型」の活用も進んでいます(実績:派遣人数174名、活用自治体133団体)。

人材派遣型の仕組みと官民双方のメリット

自治体は実質的な人件費負担なしで専門ノウハウを持つ人材を受け入れることができ、官民共創が推進されます。企業側は、社員を地域課題解決の現場へ派遣することによる人材育成の機会として活用できます。

令和6年3月に整理された「副業タイプ」

令和6年3月より、新たな選択肢として「副業タイプ」が整理されました。これは、企業に在籍しながら自治体の非常勤職員として採用される形式であり、二拠点居住や関係人口の創出にも寄与する仕組みとして期待されています。

3. 令和7年度税制改正:令和9年度までの延長と運用ルールの改善

本制度は時限的な措置として運用されていますが、地方への資金・人材の還流をさらに促進するため、令和7年度の税制改正において「令和9年度までの延長」が決定されました。

これに伴い、制度の健全な発展を図るため、以下の運用ルールの改善(適正化)が行われています。

  • 自治体のチェック機能の強化:事業の実施段階ごとにチェックリストを導入し、一定の場合には国への提出が求められます。
  • 事業実施状況の透明化:寄付法人名の公表や、自治体から事業の発注を受けた事業者の公表がルール化されました。
  • 計画認定取り消し時の対応:認定の取り消しを受けた場合の再申請に関する欠格期間が「2年間」に設定されました。
  • ルールの明確化:寄付法人やその関係会社が事業の発注先となる場合の留意点等が、Q&Aで明確に記載されました。

4. 制度活用における企業・自治体それぞれのメリットと推奨アプローチ

単なる寄付から「事業の構想段階から共創する事例」へと進化している現状を踏まえ、双方のアプローチがあります。

企業側のメリットとアプローチ

PRやSDGs・ESG経営の推進、被災地支援に加え、自治体との新たなパートナーシップ構築の機会となります。近年は、脱炭素(CO2削減)など、自社の事業連携や社会課題の解決に直結する共感性の高いテーマへの寄付が増加しています。

自治体側のメリットと推奨アプローチ

本制度を単なる資金調達手段ではなく、「シティプロモーションの機会」として捉えることが重要です。企業が自社の株主や役員に説明しやすい魅力的な事業(プレゼン)を作ること、そして寄付を受けた後の成果報告など、企業に対するきめ細やかなフォローが求められます。

5. 国によるマッチング促進策と大臣表彰事例

内閣府では、自治体と企業をつなぐための以下の促進策を展開しています。

マッチング会(年3回程度)とアドバイザー派遣(3名体制)

  • マッチング機会の提供:「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の分科会等を通じたマッチング会を年3回程度開催しています。
  • アドバイザーの派遣:3名体制の「企業版ふるさと納税アドバイザー」が、自治体の提案内容や企業への助言などを行っています。

大臣表彰の優良事例(平成30年度より実施)

  • 鳥取県 日南町:森林保全によるCO2削減効果を数値化し、寄付額と結びつけた分かりやすい提案を実施。寄付企業の社員研修を受け入れるなど継続的な関係を構築。
  • アサヒビール株式会社:全国の「祭りや花火、食文化の継承」をテーマに、自治体の自主的な取り組みを公募形式で幅広く募集・支援。

セミナー動画のご案内

本記事で全体像をご確認いただいた後は、内閣府担当官の言葉で直接制度の留意点や実例のニュアンスに触れていただける、以下のアーカイブ動画(約19分)をぜひご視聴ください。

  • [00:01:02] 企業版ふるさと納税の制度背景と概要(最大約9割の軽減効果など)
  • [00:04:09] 人材派遣型企業版ふるさと納税と「副業タイプ」の解説
  • [00:06:59] 令和6年度の寄付実績(寄付額631.4億円)と活用の広がり
  • [00:08:35] 令和7年度税制改正による制度延長(令和9年度まで)と運用ルールの改善点
  • [00:11:25] 企業側のメリットと、自治体へ向けた活用のアドバイス
  • [00:14:44] 国による促進策(マッチング会、アドバイザー)と大臣表彰事例の紹介

登壇者情報・開催概要

  • 登壇者:内閣府 地方創生推進事務局 地方創生推進室 三好 晃昌 氏
  • 登壇者略歴:2025年4月より内閣府地方創生推進事務局にて企業版ふるさと納税の地域再生計画認定や制度促進等に取り組む。
  • 開催日:2026年6月9日

まとめ

企業版ふるさと納税は、自治体の地域再生計画に基づく地方創生事業への寄付で、法人関係税の税額控除と損金算入により企業の実質負担が約1割になる制度です。令和6年度の寄付総額は631.4億円(前年比約1.3倍)に達し、寄付に加えて専門人材を派遣する人材派遣型や「副業タイプ」の活用も広がっています。令和7年度税制改正で令和9年度までの延長が決まるとともに、チェックリストの導入や寄付法人名の公表など運用ルールが適正化されました。企業にはPR・SDGs/ESG経営・事業連携の機会、自治体にはシティプロモーションの機会として、内閣府のマッチング会やアドバイザー派遣も活用しながら共創を進めることが推奨されています。

よくある質問(FAQ)

企業版ふるさと納税で企業の実質負担はどのくらいですか?
法人関係税から最大約6割の税額控除に、損金算入による約3割の軽減効果を合わせ、最大約9割が軽減されるため、実質的な負担は寄付額の約1割です。なお、1回あたり10万円以上の寄付が対象で、本社が所在する自治体への寄付は対象外です。

企業版ふるさと納税はいつまで利用できますか?
令和7年度税制改正で令和9年度までの延長が決定しています(2026年6月9日のセミナー時点)。

人材派遣型の「副業タイプ」とは何ですか?
令和6年3月に整理された新しい選択肢で、企業に在籍したまま自治体の非常勤職員として採用される形式です。二拠点居住や関係人口の創出にも寄与する仕組みとして期待されています。

この記事について

内閣府主催「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」の分科会として、株式会社カルティブが企画・運営する『地方創生制度活用シリーズセミナー』。本シリーズは、各省庁で制度を企画・運営する担当者から、制度の詳細な仕組みのみならず「施策に込めた想い」までを直接学べる場として開催しています。

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